Iで挫折したプレイ日記を、懲りずにIIでも書き始めてみる。
以前の日記でも書いたように、今回はプレイヤーの分身、戦闘には参加しないギルドマスター兼マッパーの視点から半創作っぽく書いてみようと思います。
えーと、ひとまず3層到達ぐらいを目指してー
目標は身近な所から、ね…。
以前の日記でも書いたように、今回はプレイヤーの分身、戦闘には参加しないギルドマスター兼マッパーの視点から半創作っぽく書いてみようと思います。
えーと、ひとまず3層到達ぐらいを目指してー
目標は身近な所から、ね…。
+ + + + + + + + + +
私がエトリアを訪れてから、もうすぐ一年が経とうとしている。
この地に眠る迷宮の謎と神秘に魅せられて、仲間と共にただひたすらに歩き、戦い、傷つき、また戦い続けた一年だった。
そして現在、我がギルドはいつの間にか「エトリアで最も有名な冒険者ギルド」などと称されるまでになった。ギルドマスターとしては誇らしいことだ。メンバー達には特に変化もなく、相変わらず迷宮の最深部に挑む日々を送っているが。
世界樹は王を失い、エトリアは指導者を失った。戦いの果てに知った真実は哀しみに満ちていたけれど、それでもこの街は変わらず活気と喧噪に満ち、世界樹がその威容を崩すことはない。
春近い冬のある日、私は北方のハイ・ラガード公国で新たに迷宮が発見されたという話を耳にした。ハイ・ラガード大公は迷宮内を調査すべく、大陸中に大々的な布告を出したという。しかし調査の進行はあまり芳しく無いようだ、とも聞いた。
私はエトリアを初めて訪れた頃のことを思い出していた。話に聞いていたほど街は活気づいておらず、集まった若い冒険者達は、迷宮に向かってはその多くが命を落とし、要領よく生き延びた者も当初の熱意を失い、浅い階層の採取品で細々と食いつないでいるといった有様だった。街に到着したその足でギルドに顔を出した私を、あの隻眼のギルド長は手放しで歓迎したものだ。行き場が無くくすぶってる新人達に声を掛けてやってくれ、と。
私はその日の夜、ギルドメンバーを集めて、近いうちにハイ・ラガードへ向かおうと思う、と伝えた。世に冒険者は腐るほど居るが、世界樹の迷宮を踏破した経験のある者はそうはいない。エトリアで得た経験は、ハイ・ラガードでも必ず役に立つだろう。
突然のことに戸惑うメンバーを制し、私は続けた。ただし、私一人で行くつもりだ、と。
今のところエトリアで5層以下まで潜れる冒険者は、レン達を除くと我がギルドメンバーだけだ。後に続く若い冒険者達のことも考えると、彼らを連れて行ってしまうという訳には行かない。それに、既にエトリアの迷宮内部の地図はほぼ描き上がり、出会った頃は駆け出しだったメンバー達も今や熟練の冒険者となった。もう私がこのギルドで出来ることは、もともとほとんど無かったのだ。
私が口を閉じると、テーブルにはしばらくのあいだ沈黙が下りた。
それを破り、最初に口を開いたのはアルケミストだった。
「…何だかんだ理屈をこねても、要するに新しい迷宮を一遍見てみたい、というだけのことだろう」
ミーハーだな、とズバリ言われたので思わず奴のマフラーを掴んで首根っこを締め上げてしまった。せっかくの人の演説を台無しにしやがって。おかげで多少場の空気は緩んだようだが。
続いて、みやげでも頼むよ、と明るく言ったのはレンジャーだ。
「何か適当に拾ってきてくれ。よその迷宮では何が採れるのか興味がある」
そのぐらいならお安いご用だ。私は彼ほど目利きではないので、ただのがらくたばかりになる可能性もあるが。
メディックは旅の友に、と鞄から大量の薬品を出してくれた。とはいえ、エトリアからハイ・ラガードまでの道のりは迷宮に比べれば散歩道のようなものだ。押しつけられるハマオプライムだのネクタルIIIだのを押し戻し、メディカをひとつだけ有り難く頂いておいた。
ふと気付くと、らしくなく言葉少ななソードマンが、何か言いたげにこちらを見ている。促すように視線を合わせても黙ったままだったので、そんな捨て犬みたいな顔をするなと言ってみたら怒った。いつもの調子が戻ったようだ。
「また、戻ってくるんですよね?」
最後にパラディンが、いつものように穏やかに微笑みながら尋ねた。
私はもちろん、と頷いた。
その日はギルドメンバー全員で、朝まで酒場で飲み明かした。
そしてひどい宿酔いのおかげで、私の出発は数日遅れることとなった。
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前作からの繋ぎ。
思ったより長くなってしまった。
リプレイ的な内容になるのは次回から。
この地に眠る迷宮の謎と神秘に魅せられて、仲間と共にただひたすらに歩き、戦い、傷つき、また戦い続けた一年だった。
そして現在、我がギルドはいつの間にか「エトリアで最も有名な冒険者ギルド」などと称されるまでになった。ギルドマスターとしては誇らしいことだ。メンバー達には特に変化もなく、相変わらず迷宮の最深部に挑む日々を送っているが。
世界樹は王を失い、エトリアは指導者を失った。戦いの果てに知った真実は哀しみに満ちていたけれど、それでもこの街は変わらず活気と喧噪に満ち、世界樹がその威容を崩すことはない。
春近い冬のある日、私は北方のハイ・ラガード公国で新たに迷宮が発見されたという話を耳にした。ハイ・ラガード大公は迷宮内を調査すべく、大陸中に大々的な布告を出したという。しかし調査の進行はあまり芳しく無いようだ、とも聞いた。
私はエトリアを初めて訪れた頃のことを思い出していた。話に聞いていたほど街は活気づいておらず、集まった若い冒険者達は、迷宮に向かってはその多くが命を落とし、要領よく生き延びた者も当初の熱意を失い、浅い階層の採取品で細々と食いつないでいるといった有様だった。街に到着したその足でギルドに顔を出した私を、あの隻眼のギルド長は手放しで歓迎したものだ。行き場が無くくすぶってる新人達に声を掛けてやってくれ、と。
私はその日の夜、ギルドメンバーを集めて、近いうちにハイ・ラガードへ向かおうと思う、と伝えた。世に冒険者は腐るほど居るが、世界樹の迷宮を踏破した経験のある者はそうはいない。エトリアで得た経験は、ハイ・ラガードでも必ず役に立つだろう。
突然のことに戸惑うメンバーを制し、私は続けた。ただし、私一人で行くつもりだ、と。
今のところエトリアで5層以下まで潜れる冒険者は、レン達を除くと我がギルドメンバーだけだ。後に続く若い冒険者達のことも考えると、彼らを連れて行ってしまうという訳には行かない。それに、既にエトリアの迷宮内部の地図はほぼ描き上がり、出会った頃は駆け出しだったメンバー達も今や熟練の冒険者となった。もう私がこのギルドで出来ることは、もともとほとんど無かったのだ。
私が口を閉じると、テーブルにはしばらくのあいだ沈黙が下りた。
それを破り、最初に口を開いたのはアルケミストだった。
「…何だかんだ理屈をこねても、要するに新しい迷宮を一遍見てみたい、というだけのことだろう」
ミーハーだな、とズバリ言われたので思わず奴のマフラーを掴んで首根っこを締め上げてしまった。せっかくの人の演説を台無しにしやがって。おかげで多少場の空気は緩んだようだが。
続いて、みやげでも頼むよ、と明るく言ったのはレンジャーだ。
「何か適当に拾ってきてくれ。よその迷宮では何が採れるのか興味がある」
そのぐらいならお安いご用だ。私は彼ほど目利きではないので、ただのがらくたばかりになる可能性もあるが。
メディックは旅の友に、と鞄から大量の薬品を出してくれた。とはいえ、エトリアからハイ・ラガードまでの道のりは迷宮に比べれば散歩道のようなものだ。押しつけられるハマオプライムだのネクタルIIIだのを押し戻し、メディカをひとつだけ有り難く頂いておいた。
ふと気付くと、らしくなく言葉少ななソードマンが、何か言いたげにこちらを見ている。促すように視線を合わせても黙ったままだったので、そんな捨て犬みたいな顔をするなと言ってみたら怒った。いつもの調子が戻ったようだ。
「また、戻ってくるんですよね?」
最後にパラディンが、いつものように穏やかに微笑みながら尋ねた。
私はもちろん、と頷いた。
その日はギルドメンバー全員で、朝まで酒場で飲み明かした。
そしてひどい宿酔いのおかげで、私の出発は数日遅れることとなった。
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前作からの繋ぎ。
思ったより長くなってしまった。
リプレイ的な内容になるのは次回から。
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